1位:ウラディミール・バレンティン

3年連続本塁打王を獲得して、これほど叩かれた選手も珍しい。
入団1年目、バレンティン選手は本塁打王を獲得する。だがその時の打率が規定打席に到達した中では最低の.228。
三振数は131個。典型的な「三振か、ホームランか」という選手。しかも本塁打王になったとはいえその本塁打数は31本。
いくら「飛ばないボール」の影響を受けたとはいえ、この数字では本塁打王には物足りないという評価だった。
2年目彼の三振数は92個に「激減する」。だがこれも背中の張りの為シーズン途中の8月に登録抹消されたからである。
シーズンを途中で離脱するものの、結局この年誰も彼の本塁打数を抜く事ができず、またもや31本の本塁打を放ったバレンティン選手が本塁打王を獲得する。
このように規定打席に達成しない状態で本塁打王を獲得したのは、2リーグ制後初めての事だった。
そんな「但し書き」がつく状態で、2年連続本塁打王になったバレンティンが、あのランディ・バース、タフィ・ローズ、アレックス・カブレラなどなど歴代の最強外国人助っ人の持つ本塁打数を軽々と抜き去り、「聖域」と呼ばれた王貞治の持つ日本プロ野球シーズン本塁打新記録となる、シーズン60本もの本塁打を放つなど誰が想像しただろうか。この記録は「飛ばないボール」の影響を受けすぎた為「飛びすぎるボール」に変えた事による記録だ。
などという「但し書き」は要らない。なぜなら「飛ばないボール」でも「飛びすぎるボール」でも、この3年間で彼よりホームランを打った選手は誰もいなかったのだから。
記録は破られる為にあるというが、バレンティン選手が打ったシーズン60本塁打という数字が新たな「聖域」となるかどうかは分からない。
ただプロ野球ファンとしては、記録を巡って勝負を避ける様な姿はもう見たくないと思うのだ。