プレゼントにおすすめ!大人に人気の絵本トップ10!

6位:おおきな木

少年とリンゴの木はともだち。小さな少年はリンゴの木にのぼって遊び、リンゴの木はそんな少年をとても愛していた。やがて少年は大人になり、老人になっていく。木のぼりする年頃ではなくなり、会うことも少なくなった。たまに会えるとリンゴの木はとても幸せ。少年が年をとって老人になるまで、やさしく見守り続け、与え続けるリンゴの木と少年のお話。

作者はシェル・シルヴァスタイン。1964年にアメリカで発売されてから現在まで世界中で愛されている作品である。2010年には村上春樹さんの手掛けた翻訳のバージョンが出たことでも話題になった。

村上春樹さんの翻訳になったことで、文がまたぐんと印象的になった。あとがきには「あなたはリンゴの木かもしれないし、少年かもしれない」と書かれているのであるが、どちらに共感し、どんな捉え方をするのかは読み手次第。与えるばかり、もらうばかり、という立場やそれぞれの気持ちに関してもそうで、どちらも間違いでもなく正解でもないのだろう。子を持つ親はリンゴの木を自分自身と重ねたりしてしまうのではないだろうか。

ひとつだけ分かるのは、与え続けたリンゴの木がとてもしあわせだったことだけである。

5位:つみきのいえ

海水で水没しかけの街にひとりで暮らす老人がいた。積み木を積んだような家で、水面が上がるたびに家を積み上げて水没を避けている。ある日その海に落としてしまったお気に入りのパイプを拾うため、ダイビングスーツを着て海中へ入る。パイプを探して海中を探っている内に、過去となった家族との思い出と出会う。

作者は平田研也さん。2008年に短編アニメ映画が製作され、アカデミー短編アニメ賞を受賞したことでも話題になった作品である。イラストが印象的で、柔らかい色合いで描かれ、“老人の穏やかなひとり暮らし”という雰囲気がとてもマッチしている。

年老いた時に振り返る自分の人生、というのを考えたことはあるだろうか。ある程度年齢を重ねると昔を懐かしく思い出したりもするが、この絵本を読むと、未来の自分はどんな風に感じるだろうと考えてしまう。

描かれた老人の人生は、平凡と言ってもいいくらいに波風のないものに見える。しかし、老人がその人生にとても満足していて、幸福な時間を過ごしてきたことが分かる。特別なことよりもささいな幸せをきちんと感じられる感覚を持っていたい。しんみり、というよりは優しい気持ちを心に灯してくれるような絵本である。

4位:ちいさなあなたへ

生まれた赤ちゃんの愛おしいちいさな指を数えながら誕生の喜びを感じる。母の感じる喜び、不安などをシンプルな言葉で表現し、すっきりしたやさしいイラストが添えられている。

作者はアリスン・マギー。2008年に発売された本作は、ランキングに入れた他の作品よりもはるかに新しい近年の絵本だが、制作国のアメリカで発売後、ニューヨーク・タイムズやアマゾンで『ハリー・ポッター』を追い抜いての一位を獲得した。母という存在を持つのは全ての人間に共通することだが、中でも女性は自身が母親であったり、いつか母となる人などに共感を呼び、プレゼントとして贈るなど人気の一冊である。

とても短い文章だが、「こんな風に、母も赤ん坊の自分を見つめたのだろうか」と若き日の母の姿を思い描かずにはいられないだろう。母も父も大切なひとであることには間違いないのに、母という存在はどうしてか、とても大きい。それはやはり、十月十日腹の中で過ごし、命をかけて産んでくれたというところにあるのだろう。

女性にはもちろんのこと、男性にも読んでもらいたい一冊である。