プレゼントにおすすめ!大人に人気の絵本トップ10!

3位:Badger’s Parting Gifts

頼りがいがあり頭のいいアナグマはみんなから慕われていた。ある冬のはじまりに、アナグマは死んでしまった。悲しくて、みんなどんな風に受け入れればいいのか分からなかった。そのうちアナグマの思い出話を語り合い始め、春を迎える頃には良き思い出になっていた―。

この本はスーザン・バーレイのデビュー作にして代表作となった本である。

“人は二度死ぬ”というのはとても的を得た表現で、一度目は肉体的に死を迎え、二度目は誰も思い出さなくなった時に死を迎える。

「死」について考えることは、子供にも大人にも得体の知れない恐怖や不安が湧く。しかし、必ず誰もが死を迎え、誰かの死を受け入れながら生きていく。悲しみに暮れるだけでは生きてゆけず、生きている者はまた生きるための生活をしていく。大切な人を亡くすというのは、大人も子供も関係なく起こりうる出来事。そんな、“あのとき”や“いつか”のことをそれぞれの感覚で考えるきっかけを与えてくれる一冊である。

切なくて、でも温かい、そんな絵本が読みたい人におすすめしたい。

2位:泣いた赤おに

赤おには仲間の鬼たちのために良いことをしたいという良い鬼だった。人間たちとも仲間になって仲良く暮らしたいが、人間と仲良くなるのは簡単ではなかった。そんな赤おにのためにと計画を立てて実行する青おに。鬼たちの真心のお話。

2011年にCGアニメ映画『friendsもののけ島のナキ』として公開されたことでも有名である。

絵本はいくつかのバージョンが出版されていて、イラストなどが違っている。個人的にはオリジナルの梶山俊夫さんのイラストのものをおすすめしたい。ごつごつとした赤おにのやさしい表情、悲しい表情がなんだか切なくさせられるのだ。

鬼同士の互いに友を思う気持ちに胸が締め付けられること間違いなしのストーリーで、青おにの自己犠牲にはよく目が向けられるのだが、考えたいところがもう一点。

人間が簡単には赤おにに近づかなかった原因である“○○はこうである”という決めつけ。成長する段階でさまざまな刷り込みがなされて根付いてしまうもの。これは良く言えば危機回避になり、悪く言えば決められた枠の中で生きてゆくことにもなる。今の生活が「変化のない毎日」と思えるなら、その枠はあなたには狭すぎるのだ。赤おにの見方を変えて“仲良くすることにした”人間と同じく、一歩踏み出せば変わるのかもしれない。

1位:100万回生きたねこ

立派なトラねこは、100万回死んで100万回生まれ変わった。どの飼い主のこともだいきらいで、自分だけしか愛さなかった。そんな彼がはじめて、自分以外の者を愛したら―。

作者は佐野洋子さん。谷川俊太郎さんの妻で、つくづく凄い夫婦だなと感心してしまう。これまでに3度舞台化されていて、近年では2013年に森山末来さんと、満島ひかりさん出演で行われた舞台も話題になった。長く人気がある作品で、大人の方が関心を持つことが多い絵本なのかもしれない。

とても不思議な絵本で、最後にトラねこは100万と1回目の死を迎えるのだが、なぜだが「よかった」と感じてしまい、胸に温かいものが湧いてくる。愛されるばかりでなく、愛することで、人生は活きるのである。

この本のタイトルを検索すると「解釈」という単語が連なって出てきた。筆者は「100万回生きた猫の魂の学びは愛することを知ることだったのだな」という解釈をしていた。絵本は読み手によって解釈が変わるのは当然で、書き手の意図するところとは違うこともある。あなたはどんなことを感じるだろうか。