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3位:『出口のない海』横山秀夫

人間魚雷回天への搭乗を自ら選んだ若き青年を描いた本作が第3位。

戦争といえば零戦や空母などがよく取り上げられるが、忘れてはならない兵器が特攻兵器である。

1944年から終戦にかけて使用された、聞くのもおぞましい兵器。

『出口のない海』の題材となったのは人間魚雷回天というもので、第日本帝国海軍はじめての特攻兵器である。

仕組みはあまりにも単純で、爆弾に兵士が乗って射角を操作し、そのまま突っ込んで行くというものだ。

つまりは、発射してしまえばその時点で命の終わりが確定している。

特攻兵器はこれに限らず、震洋、海龍、桜花、そして零戦を使った神風特攻隊などがある。

これほど切なくてやるせない兵器はない。

乗り込んだ兵士は爆撃までの間、一体何を思ったのだろうと考えずにはいられない。

血なまぐさい話よりも、そういった心の部分を描いているのが本作品である。

『じつに日本の国体は美しいのです。私はその美しく尊いものを、身をもって守ることを光栄としなければなりません。突入の日に生涯をこめた声で父上を呼んだことだけは忘れないで下さい。』(神風より引用)

これは昭和20年6月21日に神風特攻隊として突撃し、23歳の若さで戦死を遂げた山口輝夫少尉の遺書である。

私は自分の23歳の頃を思い返し、ただただ頭の下がる思いがした。