2位:『太陽の子』灰谷健次郎

終わらない戦争が心の中で続く父を見つめる娘ふうちゃん。戦争といえば忘れてはならない土地、沖縄について考えさせられる一冊。
灰谷健次郎氏の書く文章は読み手の心をぐっと締め付ける。
残酷だ、読むのが辛い、そう思う人もいるかもしれないが、それこそが戦争の真実なのだろう。
戦争は大人達だけの出来事ではなく、国民全員の出来事だった。
戦争そのものが終わっても、残った心の傷はなかなか癒えない。
そして、その後も引きずる沖縄県民に対する差別などは現在では見る影もないが、やはりそうした出来事があったことは知っておく必要があるだろう。
沖縄の普天間基地問題はずるずると長引いている。
沖縄県民の想いと日本を守りたい政府の想い、そして第二次世界大戦では敵国であったアメリカの想いは複雑に絡まっている。
その隙に入り込んでくるお金目当ての議員や、沖縄を獲得したい中国勢力。
沖縄という土地について、知らない、わからないでは済まない現実問題がある。